またマンションを供給するデベロッパ−も、質を落とさないコストダウンに取り組みはじめています。
ただし、都市でマンション購入を考えている消費者にはそれぞれのライフスタイルがあり、どのようにマンションを位置づけて購入するのかは異なります。
まだまだ日本ではマンションを「終の住処」とは考えない人も多く、外断熱の価値も理解されない(必要とされない)ケースも少なくありません。
そのような場合には、一、二割高いだけで決定的に「選択外」となってしまうでしょう。
しかも、外断熱工法の場合には、施工コストを下げ、断熱性能を保つために凹凸の少ない設計を求めるため、室内側では多少狭くなったり柱が出っ張るようなことも出てきます。
「それでコスト高なら、やっぱり普通のマンションでいいよ」と言う人も、現状では少なくないようです。
それで従来のマンションを選択されてももちろんよいのですが、必要なことは、外断熱マンションというものがあって、そのメリットも十分に理解したうえで従来工法のマンションを選択したのだ、ということです。
しかし現状は、違います。
多くの人が外断熱の価値(または内断熱の問題点)を知らずにマンシヨンを購入してしまい、そのあとで「外断熱がそんなに良いなんて知らなかった。損をした」と考えているのです。
そのためにも、メリット・デメリット含めたすべての情報開示が必要だと考えています。
外断熱工法は、建物の外観を自由にデザインできないと言われます。
たしかに、凹凸の激しい建物や大きなバルコニーをもった建物では、断熱材の外側に通気層を設けた外断熱工法では、通気の入口と出口が必要になるため設計時の工夫が必要です。
しかし、とくに集合住宅の場合、デザインとは機能や制約のうえに存在するものです。
土地を探してマンションを建てて分譲しようというデベロッパーにとっては、たしかに外断熱マンションによく適合する土地を探す苦労はあるわけですが、ユーザーの立場から「外断熱マンションはデザインが悪い」と感じられるようなことはまったくないはずです。
ドイツには、オーストリアを代表する現代芸術家フリ−デンスライヒ・フンデルトワッサ−(一九二八〜二000)が設計した共同住宅がありますが、外断熱でありながら自由な発想と表現があります。
著名な建築家の作品であっても、人が住む建物は全て外断熱で建てられています。
工法や土地の制約に沿っていかにデザインするかは、建築士やデザイナーの腕の見せ所であり、外断熱だからかっこ悪いということは決してないのです。
後述するように、外断熱工法には湿式密着工法と乾式通気層工法などがあります。
自由なデザインを重視するのであれば湿式密着工法で可能ですが、テクスチャーや重厚感では乾式通気層工法が先んじています。
乾式と湿式は双方に特徴があり、いちがいにどちらが良いとは言えません。
フンデルトワッサーの設計した住宅過ごしにくい? 外断熱は夏、また、はじめて外断熱マンションに住みはじめた人がよく指摘する「問題点」として、夏期の室温のコントロールがあります。
つまり「夏は暑いのではないか?」ということです。
これは外断熱のデメリットというより、いままでとは構造の異なる建物に住むときの暮らし方の問題なのですが、一つの注意点としてここにあげておきます。
建物の躯体のコンクリートに蓄えられた熱エネルギーが室内温度に同調するのが外断熱の特徴です。
夏期は建物の外側の断熱材が太陽の強い日射をさえぎって躯体の温度上昇を防ぎ、室内の快適な冷気を、躯体の蓄熱作用とともに維持してくれます。
ただし、真夏の暑さは必ずしも建物のコンクリートの外側からだけやってくるわけではありません。
強い西日が窓を通して室内に入ってきます。
外断熱マンションでも、部屋を締め切って外出すれば、窓から入ってくる日光の熱で室温は上がっていきます。
すると外断熱マンションは、その室内の熱を躯体のコンクリートが蓄えてしまいます。
一度温まったコンクリートは、夜になって帰ってくると、「モヤ−ッ」と暑い室内になり窓を開けても簡単には涼しくなりません。
クーラーで冷やせば涼しくなりますが、躯体のコンクリートに熱を「貯金」している分だけ冷やすのに時間がかかり、節電になりません。
したがって、外断熱マンションの場合、昼間は窓の外側にすだれなどの日除けを置いたり、外付けブラインドなどで日射をさえぎることが効果的になります。
エアコンは、一時的に室温を下げたり、除湿のために使われます。
また、大勢の人が集まったり、ホットプレートなどを使うときはエアコンが必要となります。
外気温度が低いときは窓をあけて通風して下さい。
このほか、冬は乾燥しやすいので、入浴後は浴室の扉を開けたままにしておくなど、従来の住まい方とかなり異なることがいくつかあります。
しかしコントロールが難しいということはなく、慣れればまったく問題ありません。
日本では間欠的・部分的な暖房のほうが良いのか?「外断熱の建物は、連続暖房が前提条件であるが、日本は間欠部分暖房が中心なので、内断熱のほうがよい」||このような意見を耳にすることがあります。
どういうことでしょうか。
外断熱マンションの利点は、繰り返しますが躯体コンクリートの蓄熱を利用するところにあります。
したがって、もしも建物全体のコンクリートがいったん冷えてしまったら、今度はかえって室内を温めるのに大変なエネルギーを使わなければなりません。
だから「連続的に暖房していることが前提条件だ」というのです。
日本の従来のマンションは内断熱ですから、人がいる部屋ごとに個別に暖房して、居住空間を暖めています。
核家族化や単身生活がふえて家を留守にすることが多くなった日本では、そのように、こまめに暖房をつけたり消したりするほうが都合が良いだろう、というのが冒頭の意見です。
しかし、そもそも外側で断熱してあるのは、建物の躯体を簡単には冷やさないためです。
最初に「いったん温める」ということは絶対条件ですが、そのあとは、たとえ数日留守にしても躯体は冷えないことがわかっています。
このような意見は、かつての外断熱がヒ−トブリッジだらけで、窓も一枚ガラスのアルミサッシだったため躯体の蓄熱が不十分で、暖房でせっかく蓄熱しても消せばすぐに逃げてしまうような「欠陥外断熱」だったからです。
私たちが提唱している外断熱工法基準(暫定・巻末資料編参照)で建てられた建物では「真冬に三日間暖房を止めていたが室温は二二℃だった」(入居者)、「入居者が退室して三日間暖房を止めていたが、室温の低下は0・二℃だった」(賃貸マンションオーナー)と報告されています。
「朝起きてパネルヒーターをつけて出社前に止めたが、帰宅すると二0℃だった」という話もあります。
夏も窓から入る日射を外でさえぎれば、クーラーを切ったままでも帰宅するとひんやり感じられます。
真夏の工事現場は熱中症に注意しなければならないほど過酷ですが、外断熱の建物の内装工事では、現場の技術者は「涼しくて嘘みたいに楽だ」と言います(これら体験者の生の声は、あとで紹介します)。
したがって、必ず誰かが家にいる家庭はもちろん、日中留守にするような単身者でも、しっかりした外断熱の住まいでは生活しやすいのです。
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